お前が限界を感じているのはわかる。だがな「競合が多すぎる」だの「勝てっこない」だの、そんな言い訳を吐いたところで、未来は開かれない。
- 知名度がない
- 販売実績もない
- 商品もダメ
- 価格も高い
そんな状況でも「勝機はある」と言ったら、お前は信じるか?
日本じゃ誰もが知ってる「リポビタンD」という牙城をぶち壊した「レッドブル」。奴らは、コンセプトがあれば戦えることを証明したんだ。
一体どうやったのか、その話をしてやろう。
ボクシングに、キックで勝つ
一見、どっちも「元気になる飲み物」だ。でもな、数字ははっきりと差を刻んでる。
リポビタンD | レッドブル | |
---|---|---|
創業 | 65年 | 38年 |
販売本数 | 約8億本 | 126億本 |
リポDの方が歴史は古い。
それでもレッドブルは、倍以上の販売実績を叩き出してる。
その差を生み出したのが「コンセプト」だ。
戦うルールを変えてしまった
リポビタンD | レッドブル | |
---|---|---|
キャッチコピー | タウリン1000mg配合 | 翼を授ける |
効果 | 疲労回復・滋養強壮 | 限界を超えるエネルギー |
顧客層 | 働く中高年 | 挑戦する若者 |
コンセプト | 栄養ドリンク | エナジードリンク |
レッドブルは「エナジードリンク」っていう新しいジャンルそのものを創った。
コピーも象徴的だよな?
「Red Bull Gives You Wings ――翼を授ける」
この言葉は、レッドブルが疲れたカラダを癒す飲み物じゃなく、「限界を突破する者の燃料」であることを象徴したんだ。
市場そのものを、変えてしまった
結果どうなったか?
- 日本のエナジードリンク市場は、2007年から10年で約900%成長
- 栄養ドリンク市場は、逆に縮小傾向
- レッドブルは、新ジャンルのトップシェアを独走
つまりお前、
こういうことだ。
勝ちたいなら「勝てる場所」をつくれ。商品が似てても、戦う場所が違えば、ルールが違えば、勝機がある。
これがレッドブルが掴んだ勝ち筋だ。そしてお前にも、それは創れる。
レッドブルの非常識なマーケティング

レッドブルが凄いのは「広告をやらずに、話題を制した」っていうことよ。
その代表格がこの2つの仕掛け。どっちも正攻法からは外れてるけどな、効きすぎるほど効いたんだ。
ゴミ箱に缶を捨てて、人気を演出?
有名なのが、「空き缶プロモーション」と呼ばれる手法。
やったことはシンプル。
街中のゴミ箱に、レッドブルの空き缶を山ほどぶち込む。
…たったそれだけ?
そうだ、それだけだ。でも通行人はこう思いはじめる。
「レッドブルって流行ってる?」
「みんな飲んでるの?」
人間ってのはな、「他人がやってる」に弱い生き物だ。だからレッドブルは、この心理を突いた。ソーシャルプルーフ戦略だ。
広告なんか打たずに、「誰もが知ってる」って空気を先に作っちまった。
非常識?
ああ、そうだな。
でもよ、広告宣伝より、よっぽど合理的だよな。
DJへの「憧れ」を狙い撃ちにした
もうひとつの仕掛けは、クラブやライブハウス。
若者が集う夜の戦場に、レッドブルを送り込んだ。
でも配った相手は、客じゃない。
あの空間で一番注目されてる、DJたちだ。
「あのDJが飲んでる=レッドブル=カッコいい」そう見せたかったんだ。
量をばら撒くんじゃなく、誰に持たせるかを選び抜いた。それがレッドブルのブランディング。
この時点でもうレッドブルは、ただのドリンクじゃなく、憧れの象徴に化けてたんだ。
レッドブルは、文化を作った
テレビCMも、成分アピールも使わず、レッドブルがやったのは…空気づくり。
- 流行ってるっぽい。
- カッコいいヤツが飲んでる。
- なんか惹かれる。
この「なんか」が、ブランドの正体だ。
レッドブルは文化を根付かせた。その文化の上に、飲む理由はしっかり後からついてきたんだ。
なぁ、お前のビジネスはどうだ?
誰に、どんな空気をまとわせたいんだ?
商品で勝てないなら、「コンセプト」で勝て
レッドブルが強かった理由?
味でもねぇ、成分でもねぇ…「欠点の再定義」ってやつだ。
- まずい? → 効きそう。
- 高い? → 飲んでる方がカッコいい。
- 怪しい? → 挑戦者の証。
常識で見りゃ「マイナス」に見えるもんを、ぜんぶ武器に変えてきたんだよ。
強いヤツがいるなら、正面からぶつかるのはやめろ。
ルールをズラせ。
リングを変えろ。
お前の商品は、誰のどんな感情に火をつける?どんな人生を背負って、どんな挑戦を支える?スペックの勝負じゃなく、「誰にとってのどんな存在か」を描けよ。